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フラッシュテクニックを通して:あらためて最近思うこと


 その学びにはまっているフラッシュテクニック(以下、FT)。トラウマに関する心理療法・技法のことである。ベーシック→ワールドリストサーブ→アドバンスト→国際学会、とタイミングよく参加させてもらっている(新たな学び/学び直しには集中して臨めるとよい時機が個々あると思う)。

 クライエントの方への侵襲性をできる限り少なくする目的で設計されているところに心を寄せている。セラピスト視点では、自身の経験値に後付け搭載でき小回りがきく技法である点も気に入っている。

 以下私見。FT、最初は構造のシンプルさや展開の鮮やかさ・スピードに目がいくが、前提に適切なアセスメントありきなのだろう(セラピー開始時の前提条件が日本と少々異なりそう)。技法以前の、関係性・安全性重視なのも間違いない(なので、それ自体はFTトレーニング以前に身につけていることがこれも前提)。FTトレーナー・マスターセラピストのデモセッションを見るにつけそう思わされる。私自身は、信頼するセラピスト仲間と話す中で、FTをいかに取り入れていくとよいか?が自分なりに少し見えてきた。

 なお、もちろんその成り立ちからEMDRとの共通点が多く、既に臨床でEMDRを用いているセラピストであればより馴染みもよいだろう。今なら創始者のPhillipManfield先生に直接教われるのも魅力のひとつだ(Phill先生の英語は私にもすっと入ってくる)。

 新たな有効理論や技法をセラピストが吸収し馴染ませ、クライエントの方の必要に応じて提供することは素晴らしいことと思う。ただ、そこには危険性も少しはらんでいる。基礎の基礎の話だが、セラピストの万能感でクライエントの方や組織を侵害せぬよう、技法第一主義に陥らぬよう。そして回復には段階とプロセスがあることも忘れずにいたい(これらを含め毎セラピー前、自分的チェックリストを確認して臨むようにしている)。

 マスターセラピストと呼ばれる人々はどの理論・技法を学んできてもたどり着く先は同じ、とは昔からよく言われることだ。セラピストはそこを目指していくのだが(歳を重ね嵩高く偉そうになるのでは目も当てられない)、中堅※以降はセラピスト自身が用心し、より質の高いモニタリング・SV・研鑽が必要となる。また、よきコミュニティでの切磋琢磨も心がけたい。(2025年6月25日)

※ 心理臨床業界では20年以上のキャリアでようやく中堅?(誤認していたらすみません)
クライエント・組織担当者の方でベテランセラピストを要望する方は、略歴と臨床心理士登録番号確認にてある程度の目安にしていただければと思う。その他には領域別の研鑽歴も材料になるだろう。
ちなみに登録番号は「若く」数が少ないほどベテラン、若手を望む方はその逆に登録番号数の大きさをご確認いただければと思う(登録番号桁は現在4万番台まで伸びているはず)。公認心理師番号はその限りではない。