ロレッタ・ナポリオーニ(2024)著 佐久間裕美子訳※ 『編むことは力』岩波書店
イタリア出身のエコノミストであるロレッタ・ナポリオーニによる著作『編むことは力』再読。
私が時々通う編み物教室の先生とも、この書籍のことは時々話題にあがる(※ 本書付属のパターン訳は、西村知子先生)。
なぜ人は編むのだろう?私は気まぐれ編みのため永遠に初心者を脱せられてないが、それでも自身や人のものを編むことが楽しい。通っている小さな教室も居心地がよい。本著にある編みコミュニティの話にも通じる。
自らの楽しみとしてふわっと編んでいた行為の輪郭が、『編むことは力』を読むことで濃くなっていく気がする。
私たちが生きるために必要とした『編むこと』について、歴史、社会・政治背景、心理学、時に数学的視点等の多岐にわたる章立てより述べられている。両手を使う全身連携の動き(115ページ)であり、反復性、両側性、空間把握とトラッキング、と神経科学的にとらえた時にもその意味は深そうだ。
編み物は、糸と編み針があればその手で進められる。間違えればまた解き、意志を持って(または解かざるを得なくなり)何度でも編み直せる。国籍や立場問わず『編むこと』は編もうとする皆に開かれている。(2025年8月11日)
※『編むことは力』翻訳者佐久間裕美子さんの著作『今日もよく生きた』を既に読んでいた。〝Blog:Podcast over the sunと『今日もよく生きた』とインポスター症候群 〟に以前、一部感想を記した。