デボラ・ヴィナール著 上田勢子訳(2025)ガスライティングからの回復ー心理的支配から抜け出し、自分を取り戻すための7つのステップ 明石書店
2025年8月の日本トラウマティック・ストレス学会学術総会、明石書店ブースにて予約。学会特典かご厚意か少し早めに手元に届けてくださった。その節はありがとうございました。
原題は『GASLIGHTING A STEP-BY-STEP RECOVERY GUIDE TO HEAL FROM EMOTIONAL ABUSE AND BUILD HEALTHY RELATIONSHIPS』ガスライティングという語にぴんとこなくてもEMOTIONAL ABUSEや心理的操作と聞くとイメージしやすいかもしれない。
パート1・パート2より構成されており、前半は解説(読みやすい)、後半はガスライティングからの回復実践ステップ。ステップは具体的に7つ、エクササイズが用意されている。EMDRやACTなどの方法も用い、ガスライティングからの自身の立て直しサポートブックとして読むことができる。
日本でも知られつつあるガスライティング、米国では日常語(対人関係での心理的操作という意味)となりつつあるようだ。海外ドラマ(韓国ドラマ含む)のセリフでも最近よく耳にするようになった。実は日本でもそこここで、残念ながらそれと気づかぬまま起こるものとも言える。
さて、ガスライティングとは?EMFTIONALABUSE・心理的虐待、支配を目的とした言動・態度、情緒的コントロールのこと。加害者は、相手を操作・支配し仕組む。被害者は「自分自身が悪いのだ‥」「そんなことは実際には起きなかったのかも‥」等、自身の感じ方や正気度、記憶すら疑うよう仕向けられる。加害者は相手の自尊心を攻撃し(巧妙なため攻撃と感じさせにくい場合もある)支配し、結果的に尊厳、選択権や独立心を奪う※1。
人と人が関係するあらゆる場で起こり得るガスライティング。政治、地域、宗教、職場、親子、恋愛や友人、と関係性・力関係の中で起こりうる。ガスライティングの関係やタイプは様々で、段階やサイクルがある。加害背景や動機も多様だ。そして、そこからの回復は一筋縄ではいかない(だが回復できる)。
「誰でもガスライター(加害者)になれるし、誰にでもガスライティングは起こります」(22ページ)とあり、読み進むにつれこの視点がとても重要と気づく。私自身もそう。人に対して敬意を欠けば、誰でも加害者になってしまう。
「知識は力なり」は回復プロセスでとても大事な合言葉。何が起きていたのかを理解し、されていたことを認識し、自分で決める力を得ること。ときに信頼できる誰かと共にそのプロセスを進められるとこころづよい。
さいごに本著の活用に関して(勝手ながら)考えてみたい。読者が自身で、本著にあるエクササイズをまずは少しずつ試してみることができる。(状況にもよるが)急ぎすぎずステップ全体はゆっくり進めるのが良いようだ。回復プロセスは個別のものだから。また、専門職はクライエントの方とともにセラピーで話題にしたり、ステップを一緒に試すことができる※2。本著を媒介にさらに有用な解説やその方にあった専門的ケア(ブレインベースのトラウマアプローチ等)も提供できるだろう。私もより良い方法を探ってみようと思う。
被害者が自らを建て直すと同時に、やはり公衆衛生としてのトラウマインフォームドケアや健全な人間関係構築に関して広く知られる必要性も感じた。(2025年8月24日)
※1 ガスライティングに関しては『ガスライティングという支配-関係性におけるトラウマとその回復』(日本評論社)にも詳しくある。
※2 示されるステップの中に感情や身体感覚に〝気づいておく〟〝共にいる〟という表現が多くある。これはセラピーで、セラピストがよく使う表現と思うが、それ自体への慣れが必要かもしれない。
2025年8月の日本トラウマティック・ストレス学会学術総会、明石書店ブースにて予約。学会特典かご厚意か少し早めに手元に届けてくださった。その節はありがとうございました。
原題は『GASLIGHTING A STEP-BY-STEP RECOVERY GUIDE TO HEAL FROM EMOTIONAL ABUSE AND BUILD HEALTHY RELATIONSHIPS』ガスライティングという語にぴんとこなくてもEMOTIONAL ABUSEや心理的操作と聞くとイメージしやすいかもしれない。
パート1・パート2より構成されており、前半は解説(読みやすい)、後半はガスライティングからの回復実践ステップ。ステップは具体的に7つ、エクササイズが用意されている。EMDRやACTなどの方法も用い、ガスライティングからの自身の立て直しサポートブックとして読むことができる。
日本でも知られつつあるガスライティング、米国では日常語(対人関係での心理的操作という意味)となりつつあるようだ。海外ドラマ(韓国ドラマ含む)のセリフでも最近よく耳にするようになった。実は日本でもそこここで、残念ながらそれと気づかぬまま起こるものとも言える。
さて、ガスライティングとは?EMFTIONALABUSE・心理的虐待、支配を目的とした言動・態度、情緒的コントロールのこと。加害者は、相手を操作・支配し仕組む。被害者は「自分自身が悪いのだ‥」「そんなことは実際には起きなかったのかも‥」等、自身の感じ方や正気度、記憶すら疑うよう仕向けられる。加害者は相手の自尊心を攻撃し(巧妙なため攻撃と感じさせにくい場合もある)支配し、結果的に尊厳、選択権や独立心を奪う※1。
人と人が関係するあらゆる場で起こり得るガスライティング。政治、地域、宗教、職場、親子、恋愛や友人、と関係性・力関係の中で起こりうる。ガスライティングの関係やタイプは様々で、段階やサイクルがある。加害背景や動機も多様だ。そして、そこからの回復は一筋縄ではいかない(だが回復できる)。
「誰でもガスライター(加害者)になれるし、誰にでもガスライティングは起こります」(22ページ)とあり、読み進むにつれこの視点がとても重要と気づく。私自身もそう。人に対して敬意を欠けば、誰でも加害者になってしまう。
「知識は力なり」は回復プロセスでとても大事な合言葉。何が起きていたのかを理解し、されていたことを認識し、自分で決める力を得ること。ときに信頼できる誰かと共にそのプロセスを進められるとこころづよい。
さいごに本著の活用に関して(勝手ながら)考えてみたい。読者が自身で、本著にあるエクササイズをまずは少しずつ試してみることができる。(状況にもよるが)急ぎすぎずステップ全体はゆっくり進めるのが良いようだ。回復プロセスは個別のものだから。また、専門職はクライエントの方とともにセラピーで話題にしたり、ステップを一緒に試すことができる※2。本著を媒介にさらに有用な解説やその方にあった専門的ケア(ブレインベースのトラウマアプローチ等)も提供できるだろう。私もより良い方法を探ってみようと思う。
被害者が自らを建て直すと同時に、やはり公衆衛生としてのトラウマインフォームドケアや健全な人間関係構築に関して広く知られる必要性も感じた。(2025年8月24日)
※1 ガスライティングに関しては『ガスライティングという支配-関係性におけるトラウマとその回復』(日本評論社)にも詳しくある。
※2 示されるステップの中に感情や身体感覚に〝気づいておく〟〝共にいる〟という表現が多くある。これはセラピーで、セラピストがよく使う表現と思うが、それ自体への慣れが必要かもしれない。