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『怒っている子どもはほんとうは悲しい 「感情リテラシー」をはぐくむ』


渡辺弥生(2026)怒っている子どもはほんとうは悲しい「感情リテラシー」をはぐくむ 光文社新書 

 発達心理学の専門家による感情リテラシーをはぐくむことに関する新書。研究上の経緯やエビデンスが示されている点も安心だ。本テーマが新書化された意義は深いなあと感じながら読み進めた。


 さて特に印象に残った章とセラピー・感情にまつわるメモを以下感想として記す。


 5章:感情を育てる文化やスポーツ、6章:日本の感情史-文化の推移から、とこれらの章では文化・芸術と感情の関係性、日本ならではの感情と表出の様式が歴史変遷とともに解説される。


 上記章は、私にとっては先日観た文楽の『新薄雪物語』と繋がりライブ感ある読書体験となった。ご存知のように人形浄瑠璃・文楽は、人形(と人形遣い・太夫・三味線)をとおして物語や心情が表現される総合芸術である。文楽人形の造形や動きに、情景や感情(情感)がくわわり物語が展開する。さらに観客はそれを追体験する。舞台は複層視点や時間性をも含む。『新薄雪物語』は死や関係性が主題のひとつでもあり、観る側の感情の土壌によって世界観がさらに広がるのだろう(まさにアートは感情リテラシーによっても深化する)。


 そして自身の職業視点では、個々の感情は間違いなくセラピーの鍵となる。感情に気づき知り、表現・共有・育むことは自己/他者理解の深まりや社会性に直結する。世間ではそこまで重視されていなさそうな感情・感情リテラシーだが、セラピーでは主役。セラピーの潮流においても、感情や感覚を扱う技法の洗練化をひしひしと感じている。

(2026年1月18日)


※ セラピーで感情を扱う際には、クライエントの安全性を重視しつつ時にダイブするような局面もある。感情のストップモーション・巻き戻し・一時停止(比喩です)を行うが、アセスメントとともに丁寧にしかるべきタイミングでの探索なのでご安心いただきたい。